動脈硬化のお話

動脈硬化は沈黙の殺人者と言われていることをご存知でしょうか?

動脈とは、心臓から酸素や栄養を豊富に含んだ血液を全身に運ぶ血管です。血液を十分に送り出すため動脈は通常しなやかな構造をしています。動脈硬化とは、文字通り「動脈が硬くなる」ことです。動脈が硬くなると、動脈は徐々に細くなり詰まります。

心臓の血管が詰まると:狭心症、心筋梗塞

脳の血管が詰まると:脳梗塞

足の血管が詰まると:閉塞性動脈硬化症などの生命にかかわる疾患を起こす危険性があります。

動脈硬化による病気がどの程度怖いのかというと、H26年の死亡原因の約25%を動脈硬化(心疾患と脳血管疾患)が占め、動脈硬化は癌と同じくらい生命を脅かす病気であることがわかります。

また、寝たきりとなる原因の約40%は動脈硬化が原因であるとの報告もされています。

様々な病気を引き起こす動脈硬化ですが、一番の問題点は「症状がなく気づきにくいこと」です。自覚症状が出た時には重症化していることも多く、初めての発作で半身まひや心停止となりうるのです。

動脈硬化は、高血圧症、高脂血症、糖尿病、喫煙、年齢(50歳以上)が代表的な促進因子です。該当する場合には、動脈硬化のチェックをすることをお勧めします。

動脈硬化の検査の代表としては、血管年齢検査(ABI検査)と、頸動脈エコーがあります。

血管年齢検査(ABI検査)とは、両手両足の4ヵ所の血圧を同時に測定します。10分程度の検査でご自身の血管年齢や動脈の硬さが計測できます。足の血管の詰まりについても同時にわかります。

頸動脈エコー検査とは、首にある動脈をエコーを使って動脈硬化を評価しますので痛みはありません。

 

心筋梗塞、狭心症のお話

これまでのお話から動脈硬化が原因で心臓の血管が詰まることにより、狭心症、心筋梗塞という病気を起こすことがご理解できましたでしょうか?

もう少し細かく心臓を見ていくと、心臓には3本の「冠動脈」という血管が心臓に栄養を送っています。この冠動脈に動脈硬化が起き、詰まることで心筋梗塞を発症します。動脈硬化は1本の冠動脈だけに起こることも、3本の冠動脈全てに生じることもあり、数か所も詰まると重症となります。

軽傷であれば、内服治療やカテーテル治療などの内科的治療が可能ですが、重症であれば、心臓バイパス手術という胸を切っての大きな手術が必要となります。

 

動脈硬化や心筋梗塞は重症化する前に積極的に早期発見しましょう!

心筋梗塞は一度発症すると病院に到着する前に15%以上が心停止に陥ります。病院に入院中に6~7%の確率で命を落とします。退院後に5年間元気でいられる確率は80%です。そのため、発症する前に積極的に検査及び治療を行うことが必要です。

当院では心電図や心臓エコー以外に心臓の動脈硬化を見る方法として心臓CTが可能です。

 

心臓CT(造影) 予約検査

心臓CT検査では、心電図等と異なり心臓の血管に詰まりがないかを直接的に目で見ることができます。

日本循環器病学会ガイドラインでは、心臓CT検査により心臓の血管に詰まりが無いかどうかを診断可能とされています。

造影剤という薬剤を点滴してCTを撮像します。そのため多少準備に時間を要しますが、検査自体は10分程度で終わります。 ※造影剤は腎臓の機能が悪い場合や重症アレルギーでは施行困難なことがあります。

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